パソコンの新調(PCその1) - デスクトップPC 2020年3月

 新型コロナウィルス感染拡大の影響で外出が減り、暇ができた。この機会に先延ばししていたことを片付けることにした。  その一つが、寿命が近づいたWindows デスクトップ・パソコンの新調だ。といっても、1台丸々買い替えるのではなく、使える部品を転用しての組み直しである。 ■リニューアルの考え方  これまで使ってきたパソコンは、2012年12月に秋葉原で部品を買いそろえ、組み立てたものだった。  丸7年使ってきたが、この間に、本体内部のハードディスク、SSD、DVDドライブを、故障のため、あるいはその予防のため交換した。また、グラフィックボードを試しに追加した(が、思うほどの効果は無かった)。  今回のリニューアルは、2012年に購入して以来のCPU、マザーボードなどの入れ換えだ。中枢部品とケースを換えるので、中身、外観ともに一新され、新調と言ってよいだろう。  グラフィックボードを持ったので、CPUはGPU内蔵のIntel製でなくて良い。性能向上を言われているAMD製のものを使うことにする。  OSは、2012年当時のWindows 8 Home Premiumから、無償アップグレード、アップデートを重ね、Windows 10 Proの最新版になっている。CドライブのSSD(SATA接続)ごと移植する。  リニューアルの基本方針は「道具としてのパソコン」である。使い良く、7、8年くらい安定して稼働し、性能・機能が大きく陳腐化しない。そんな道具であってほしい。音が静かなことも大切だ。  私はゲーマーでもヘビーユーザーでもないので、絶対的な性能はほどほどで良いわけで、CPU・グラフィックボードのグレード、メモリーの量は「中」程度のクラスで十分だ。  音の静かさは、複数ある冷却ファンの音の抑制がポイントになるが、パソコンとして高性能なほど発熱が大きく、バランスが問題になる。本当のところは、サイズが小さいパソコンが望みだが、コンパクトで一応の性能で静か、という良い所取りは難しい。静音化するには、通気口を最小限にした遮音タイプの大型ケースを使い、大口径ファンを低回転で回すという方法が、コストも考え合わせると実際的と思う。 ■部品構成  今回、新たに購入した部品は次のとおりで、性能的に「中」クラスだが、信頼性が高そうなものを選んだ。   CPU     AMD Ryzen 5 3600   CPUクーラー Scythe 虎徹 MarkII   メモリー   CFD販売 DDR4-3200 Crucial/Micron 16GBx2   マザーボード ASUS TUF B450-PRO GAMING   電源     Fractal Design ION+ 660P   ケース    Fractal Design Define R6 TG  パソコン店のネット通販やAmazonを探したが、コロナウィルス、在宅勤務の影響か、メモリーとケースが品薄だった。  ケースのDefine R6はミドルタワーサイズの遮音型で、吸気用に特大の140mm径ファンが2個奮発されていて、静音性はトップクラスだ。同じく遮音型のAntec P101 Silentと迷った末の選択だったが、値段が2倍近いだけあって、作りが良くデザインも好ましい。最近流行のガラス側面のタイプだけ、かろうじて残っていた。メモリーは8GBx2=16GBと思っていたが品切れで、えいやと2倍の容量にした。このあたりは「上」クラスで過剰性能気味だが仕方ない。注文後は1、2日で到着した。  以下は、旧パソコンから移植して使う。どれも昨年以降更新したものばかりだ。(西暦は更新年)   グラフィックボード 2019 Sapphire Pulse Radeon RX570 ITX 4G   SSD(C:)   2019 Samsung 860 EVO 250GB   HDD(D:)   2019 WD WD10EZEX 1TB   DVDドライブ 2019 Pioneer DVR-S21WBK   OS      2020 Microsoft Windows 10 Pro 64bit  ディスプレイ、キーボード、マウスなどのユーザー・インターフェースは、使用感が良いものが望ましく、使い慣れたこれまでの物をそのまま使う。   ディスプレイ  2013 EIZO ColorEdge CX240   キーボード 1997? IBM 5576-A01(P/N79F0167)   マウス   2016 Logicool M500t   プリンター 2019 ブラザー DCP-J988N ■組み立て  7年ぶりの組み立てで手順を忘れており、急がず一日をかけて慎重に行った。  組み立てで一つ失敗したのは、マザーボードのUSB 3.0 ヘッダーのピンを折ったこと。ケースのフロントパネルへ延長する接続コネクターが外れたのを押し込んでしまい、ピンを曲げた。さらに、修正しようとしてピンが折れた。そう言えば、前回2012年の組み立てでも全く同じ失敗をした。間抜けな私だが、ネット上にも同様の話が多くある。USB 3.0 ヘッダーはピンが長くて細く、弱いのだろう。  Define R6ケースは正解だった。問題の動作音の静かさについては、申し分なく合格。机の下に置いているが、耳を澄ましてようやく低い回転音がかすかに聴こえる程度だ。サイズに余裕があり過ぎてスカスカ、ガラス側面も私には用無しだが。 ■ハードウェアの問題処理  旧パソコンにグラフィックボードを追加し、パソコンからディスプレイへの接続に、性能をフルに発揮できるDisplayPortケーブルを使うようになった。ところが、しばらく使ううちに「入力信号無し」で画面が真っ暗になり、Windowsの起動画面に入れないトラブルが生じていた。DVIケーブルに換えると問題無い。  新パソコンでも、同じ問題が生じる。  新たなDisplayPortケーブルを買ってきて交換してみた。これが当たりで、無事「入力信号無し」は解消。ケーブルの断線だった。やれやれ。  インターネット接続についても、旧パソコンでは不安定で時々途切れることがあった。  新パソコンでは、組み立て時に接点のクリーニングを念入りに行ったが、それでも不安定な兆候が見えた。こちらも、新たなLANケーブルを買って交換することで問題が解消し、通信速度が上がった。断線か、接点の接触不良だったようだ。  どちらもパソコン本体の問題ではなく、接続ケーブルの問題だった。一応解決したが、LANのRJ-45プラグ、DisplayPortのプラグは、ともに本体側受け口との接続が構造的にあまり確実でないように感じる。弱点と意識して、今後も接点クリーニングなど、定期的な保守点検をすべきと思う。 ■ソフトウェアの問題処理  SSD(SATA接続)にOSとアプリを入れ、Cドライブとして運用してきた。詳細には、昨年(2019年)12月にSSDを交換し、Windows10をインストールメディアを使ってクリーンインストールをしてあった。SSDごと、そのまま新パソコンに移すので何の手間も要らない、そう思っていたら案に相違した。  まず、Windows 10のライセンス認証がされていない、との警告が出た。MSアカウントにリンクされたデジタルライセンスで認証されているはずだが、マザーボード、CPUを変更したので、「ハードウェアの大幅な変更」に相当し、再認証を求められたようだ。  設定→ライセンス認証→トラブルシューティングで、「このデバイス上のハードウェアを最近変更しました」をクリックしたが、「弊社サーバーが混んでいるので時間をおいてもう一度」が繰り返される。  設定→ライセンス認証で「プロダクトキーの変更」を選び、2012年に購入したWindows 8のプロダクトキーを入力したら、あっさりと認証された。(DSP版での購入だったが、この点は不問だった。)  続いて、Word、Excelを試しに起動したら、こちらもライセンス認証を求められた。やはりハードウェアの大幅変更のためか。  「インターネットを使ったライセンス認証」をしようとしたができない。「許可されているインストール数の上限に達している」との警告が出る。Office 2007のWord、Excelであり、古くてサポートが終了しているためらしい。「電話でライセンス認証を行う」を選択しても、「次へ」を押して何も出ず、できない。  Microsoftのライセンス認証電話窓口に問い合わせたところ、再インストール後、認証ウィザード画面を開き、再度電話するように、とのこと。指示どおりにして、画面上では手続きの途中までしかできない。再度、窓口に電話したら、確認ID番号を口頭で伝えてくれ、めでたく認証完了となった。  なお、電話相談では「Office 2007のサポート終了は承知しているが」とこちらから先に言及したが、特にこの点を問題視するような対応は無かった。  認証はされたものの、サポートが切れて更新が行われないため、Office 2007はセキュリティ上のリスクがあるようだ。自分のパソコン単体でドキュメントを作成している分には問題ないが、外部からのドキュメントにウィルスが入っていた場合、開くことで感染するという。  もともとWordも、Excelも、使うのは月に1、2回がせいぜいだった。Office 2007は一応インストールしておくとして、今後は基本的に使わず、中国製ではないオープンソースで無料のLibreOfficeを使っていくことにした。LibreOfficeは動作が重いというもっぱらの評判だが、新パソコンの性能のおかげで、起動が遅いことはともかくとして、動作速度は旧パソコンにおけるOffice 2007並みだ。Word、Excelのファイルも、体裁が一部崩れるものの、一応、読み込み、書き出しができる。実用上の不便はあまり無さそうだ。  使用開始して何日かで、エクスプローラーでフォルダーを開く動作がもたついて遅いことが気になりだした。正確に言えば、もたつきは昨年12月に旧パソコンで行ったWindows10のクリーンインストール以来のことだが、新パソコンでも同じ現象だ。新調したパソコンは、最新のミドルクラスCPUであり、メモリーも余裕の32GBだ。遅く感じることはなかろうと期待していたが、残念。  Windows10は、使用者の利便向上、視覚効果の向上などのため、様々なプロセスが働いている。ただ、やり過ぎて動作を遅くしている面がある。要らないプロセスを無効にするときびきび動くようになるので、旧パソコンではそうしてきた。新パソコンも設定を変えることで、多少、動作が改善された。ただ、エクスプローラーのもたつきは残っている。  さらにシステムファイル・チェッカーを実行してみたら、「Windowsリソース保護により、破損したファイルが見つかりましたが、それらは正常に修復されました」とのメッセージが出た。ログファイルを見たが、詳細な内容は判読できなかった。(複数の?)システムファイルに何らかの問題があり、修復してくれたようだ。  Windowsはシステムとして膨大で複雑なので、クリーンインストールそのままでは必ずしも最適な状態ではない。また、システムファイルの破損事故も生じ得るのだろう。素人の自分には、システムの全容が把握できず、不具合の原因も探れない。Windowsは、設定やその後のメインテナンスが必要で何とも厄介なOSだ。  これで新パソコンの問題は一応解決し、道具として使えるようになった。  新パソコンは、旧パソコンと比べて数倍の性能のはずだが、体感上すぐにわかるほどの違いは無い。よくよく観察すると、LibreOfficeをはじめ、いろいろな場面でより速く滑らかに動作する感じがする。その程度の違いだ。  旧パソコンは、当時の「中の上」のCPU、Intel i7-3770Sを中心に組んだものだった。私の使い方からすれば十分な性能で、7年間特に不満なく快適に使うことができた。新パソコンの一層の性能はもはや過剰気味、ということだ。まあ、これからの7、8年、十分使って行けるだろう。  よろしく頼むよ。 ●追記 2020年6月 キーボード、マウスを変更した  その後、キーボードを東プレ Realfoce R2TLA-USV-IVに替えた。マウスもEndgame Gear XM1に替えた。記事 ●追記2021年8月 自作キーボードを作った  自作キーボードを作り、併用するようになった。記事 ●追記2021年10月 Windows 11に替えた  Windows 10 Proから、無償アップグレードによりWindows 11 Proに移行した。これに伴ってシステムドライブを、M.2タイプのWD Blue SN500 NVMe SSD 500GBに変えた。  2020年に新調したデスクトップPCだが、チェックするとWindows 11のシステム要件を満足しない。セキュアブートに対応していないことが不合格の理由だ。なお、TPM2.0への対応は、事前にBIOSで有効化しておいたので合格。この2項目はセキュリティ向上のためらしいが、自作PCや旧型PCの場合、少なからず引っかかるようだ。  セキュアブート非対応というのは、これまでのシステムドライブ SATA SSDへのWindows インストールをレガシーBIOSモードで行ったためだ。UEFIモードに切り替える必要がある。切り替えは、Windowsやアプリをそのままにして行うやり方もあるにはあるが、失敗の危険がある。シンプルに、新品SSDにクリーンインストールすることにした。  インストールは、これまでのデスクトップPCに新SSDを接続し、USBメモリーの「インストールメディア」から起動してクリーンインストールする方法で行った。旧SSDにWin10、新SSDにWin11とシステムドライブが二つになるので、ライセンス的にどうなるのか。と思ったが、インストール・プロセスの途中で、①既存アカウントのメールアドレス、パスワードを入力し、②アカウント内の該当デバイス(デスクトップPC)を選択する、ことで問題なく新SSDにインストールできた。また、旧SSDのWin10は起動できなくなり(BIOSの起動順位候補から消えた)、システムドライブ二重化は自動的に回避する仕組みのようだ。  Windows 11になったら、これまで何となく不具合があったWindowsの動作が、一挙に改善され快調になった。エクスプローラーでフォルダーを開く動作のもたつきが無くなり、ショートカットからのアプリ起動が速くなり、ファイルの右クリックでプチ・フリーズ発生ということも無くなった。  Win10にあったバグがWin11で修正されたのか、私のWin10の設定が拙かったのか、破損したシステムファイルの修復が不完全だったのか、クリーンインストールでリセットされたのか、SSDが低速のSATAから高速のM.2に変わったためか、・・・。原因がわからないままの問題解消で釈然としないが、まずは喜ばしい。昨年新調した部品達がやっと本来の力を発揮するようになった。調子が良いので、なるべくWindows 11のデフォルト設定のまま行くことにする。 ●追記2021年10月 小型ケースに替えた  デスクトップPCのケースは、Fractal Design社のミドルタワー型Define R6 TGだった。デスク下に置くと(デスクトップ(=卓上)じゃないですね。スミマセン)、ファン音、HDD音が全く聞こえず、満足できる静音PCだった。しかし、ケースのサイズが結構大きく、デスクの作業環境を狭めていた。  思い切って、同じFractal Design社の二回り小さいミニタワー型ケース、Define Nano Sに替えた。マザーボードが小さなmini-ITX規格になるので、Gigabyte B550I AORUS PRO AXに替える。CPU、電源ユニットなどそれ以外の部品は移植して活用する。光学ドライブは、5.25インチベイが無いため移植できないが。  今回はUSB 3 ヘッダーのピンを折らないよう、注意して組んだ。部品が、余裕も無いが不足も無くちょうど納まり、わがPCのような「中」性能クラスは小型ケースが相応しいとわかった。デスク下、隅の隙間に設置することができ、デスクの作業環境は大いに向上した。  しかしながら静音性は低下した。早朝・深夜の静かな時にはフロントの140mmファンか、リアの120mmファンなのか、少々音が気になる。ケース付属のファンは低速回転型で静かな部類の品なのだが、BIOS設定でQuietモードにしても微かだが音が聞こえてしまう。Define R6とは静音志向の設計で共通しているが、Define Nano Sは内部空間がずっと小さく、ケースの板厚も薄いので、やはり静音性ではかなわない。  そこで、PWMタイプで回転を低く落とせる120mmファン、Arctic F12 PWMに替え、フロントに2個、リアに1個使うことにした。ファン回転数を細かく調整できるマザーボードのユーティリティで、アイドリング時のCPU温度40~45℃程度を確保しながらファン回転数が400rpm程度の低速になるよう調整した。さらに、フロントファン周辺が共振している様子だったので、取り付け金具を補強するとともに、フロントパネル・サイドパネル裏の防振シートの上にさらに防振ゴムシートを張って振動対策を施した。これだけやって音が一段下がったが、それでも微かに聞こえる。ほとんど無音だったDefine R6にはやはりかなわない。