パソコンの新調(PCその2) - ノートPC Chromebook 2020年4月

 わが家はデスクトップ・パソコンが2台あって、どちらも7年前に部品を購入して組み立てたものだ。先月、私が使ってきた1台を新調した。(その1記事)  カミさんが使うもう1台も、7年経過し、そろそろ寿命だ。途中、システムドライブのSSD化、ハードディスクの交換などをしてきたが、やはり新調する頃合いだ。 ■Chromebookというノートパソコン  カミさん用のパソコンなのだが、そもそも軸足がスマホに移っていてあまり使われていない。時たまのウェブ閲覧、ごくごくたまのWord・Excel文書作成という使用状態だ。本人も、WindowsデスクトップPCを持て余し気味で、小型で場所にとらわれないノートパソコンを、なおかつ操作・設定・メインテナンスなどが自分の手でできることを望んでいる。  この難条件を検討していて、Chromebookの存在を知った。  Chromebookは、Windows PCやMacと違って、GoogleがLinuxをベースに開発したGoogle Chrome OSを搭載した小型軽量のノートパソコンだ。  Google アカウントのGoogle Mailやオンライン・ストレージ Googleドライブを使う。この点、Android OSのスマートフォンと同様だ。さらにGoogle漬けなのだが、ワープロ、表計算などは、ブラウザーGoogle Chrome経由で、インターネット上のWEBアプリケーションとしてGoogle Docs、Google Sheetsなどを使う。機能が少し簡易になっているが、Word、Excel形式のファイルの編集もできる。  Googleのシステムを使い、Wi-Fi環境下でインターネットにつながることが前提のパソコン、という大変割り切ったコンセプトだ。なるほど、Chromebookという名はブラウザーGoogle Chromeと一体のOSということなのだろう。  結果として、大容量記憶装置を持たない最小限のハードウェアで済むので、価格も安い。日本ではまだ少数派だが、米国の教育機関、企業に普及しているらしい。Windows7のサポート終了を好機として、日本でも販路を拡大しようとしているところだ。  軽量ノート・タブレットのライバルとして、MicrosoftのSurface Go、Surface Proもある。Chromebookより価格は張るが、従来どおりWindows 10とMicrosoft Officeを搭載しているので、「職場のパソコンと同じ」を重視する人には良いだろう。カミさんの場合は、これまでデスクトップWindows10機にOfficeが入っていてもほとんど使っていないのだから、Surfaceを選ぶ理由が無い。  Windowsでは一仕事となる過去データの移行や初期設定も、クラウド・ストレージならば簡単だろう。カミさんには、Windowsノートパソコンより適していると思えた。Google王国の支配下に自ら進んで入ることへの抵抗はあるが。  Chromebookに絞って、具体的な機種を検討した。大規模家電店にもまだほとんど置いていないので、ネット通販で探すことになる。  メーカーは、Acer、ASUS、HP、Lenovoあたりで、3万円台からある。自動更新ポリシーの期限が長いこと、CPU等の性能が中程度であること、ディスプレイが大きめであること、という基準で機種を検討した。このうち、「自動更新ポリシー」とは、機種ごとに決まっているソフトウェアの更新サポート期限、すなわち寿命期限なので、Chromebookを選ぶ時には注意すべきだ。  HP Chromebook x360 14b-ca0000が、自動更新ポリシー2026年6月まで、中くらいのスペック、14インチディスプレイ、まあまあの外観、日本HP社の直販、リーズナブルな価格、と好バランスの機種なので、これに決定した。 ■ようやく到着  HP Directplusに3月19日に発注したが、「ご好評につき欠品」とのことで、待たされた。察するに新型コロナウィルスの影響と思ったが、ずっと状況や見通しを伝えてくれないままの感心しない対応だった。  結局、約3週間経った4月11日に届いた。日本HPは、日野市で組み立てている一部製品については「安心の東京生産モデル」と呼んでいるが、わが家に来たのはそうでなかったようだ。やはり中国での組み立てや輸送が遅れたのだろう。 ■使い勝手は悪くない  さっそくその日に開封し、カミさんと初期設定をした。GoogleアカウントのパスワードとWi-Fiのパスワードを入れる。初期設定といってもこれだけで、拍子抜けするほど簡単だ。これでもう、インターネットに接続でき、Googleアカウントの諸設定が引き継がれている。  データの移行も、Google Mailもスマートフォンと同期されていて、これまでのメールが表示されている。旧デスクトップのドキュメント・フォルダもGoogleドライブに入れておいたので、使うことができる。また、ピクチャー・フォルダの写真は、整理した上でGoogleドライブに入れた。これでOK。  ChromebookのGoogle Chromeは、デスクトップPC(Windows10)のそれと同じ外観で、違和感なく即座に使える。Google Chromeについても、あらかじめ旧デスクトップ上で他のデバイスと同期するよう設定しておいたので、ブックマークや拡張機能なども、全く同じものになっている。  Windowsで厄介な初期設定やデータの移行が簡単なのは、Chromebookならではだ。また、シンプルな水準でシステムの整合をとり、洗練された操作性を実現しているのには感嘆するばかりだ。Googleのシステムに取りこまれたことに他ならないのだが。  Androidスマートフォンともうまく連続していて、タッチスクリーンが使えるなど似ていて直感的に操作できるので、カミさんもすぐに馴染んだ様子だった。マウスを用意したが、使わないでいる。  ディスプレイが横長の14インチだが、カミさんからは、綺麗に表示されてネット上のブログなどが読みやすいと好評だ。スマホと比べて表示範囲が広くて読みやすいのは当然だが、画面サイズは小さいものの、旧デスクトップの17インチ ディスプレイ(2006年モデルの普及品だった)と比べても、画素数は1280x1024から1920x1080に上がっていて表示範囲が広い。文字の表示が小さめとは思うが、精緻で綺麗に見える。  カミさんは毎日一度は使っていて、まずは意に適ったようだ。 ■メリット、デメリット  私が見ての一番のメリットは起動の素早さだ。作業途中でディスプレイを閉じるとスリープ状態になり、開くと瞬時に以前の画面に戻る。電源を入れての起動も速く、10秒ほどで立ち上がる。これまでのデスクトップPCも、システムをSSDに置いていたのでWindows機としては起動が速い方だが、それよりも圧倒的に速い。使いたいと思ったらすぐ使える手軽さは素晴らしい。  ノート型で手元において直ちに使えるとなると、例えば、テレビや新聞を見ていて、何か調べたいと思えば即座にネットを検索することができる。起動を待つ煩わしさ無しに、すぐ使える手軽さが良い。  スマホが同じ利点を持つわけだが、私などはフリック入力で素早く入力できずストレスを感じてしまう。Chromebookはキーボードがあるので早い入力ができるし、大きいディスプレイで結果が見やすい。使い勝手ははるかに良い。  メリットの第二は、安定して動作し、維持管理の手間がいらないことだ。Chrome OSがまだ若いOSなので、何か不具合が出るのではないか、不安定なのではないかと思っていたが、杞憂だった。カミさんが使うたびに電源を切ってOSをリセットしているせいもあるが、常に正常に動作し、安定感がある。ごく稀にフリーズする不調もあったが、再起動で正常に戻った。また、OSのバージョンアップも自動更新してくれるなど、メインテナンスフリーだ。セキュリティ対策も、OS自体に、サンドボックス(Webページ閲覧やアプリ実行を制限された環境内で行う)、毎起動時のウィルス感染セルフチェック、データ暗号化、復元モードなどの機能があって、セキュリティソフトが不要のようだ。OSを意識しなくて済む、これはWindows 10に比べて大きなメリットだ。  デメリットは、Googleが提供するサービスに乗り、Google王国に全面的に取り込まれること。既にAndroidスマホを使ってそうなっている、と言われればそのとおりなのだが、プライバシーが尊重されることなく勝手にビッグデータの一片にされてしまう心地悪さがある。Googleを邪悪な企業とまでは思わないが、手放しの信頼はできない。といっても、これは抽象的なデメリットであり、それと背中合わせに便利さがある。困ったものだ。  具体的デメリットとしてすぐ思い浮かぶのは、WiFi環境が無いと使い物にならないことだが、そういう仕様なのだから受け容れるより仕方ない。ただ、その枠組みの中で上手に作られていて、決定的なデメリットにはなっていないようだ。  Windows用の無数にあるアプリが使えないことも、OSが異なるのだから当然だが、デメリットとして大きい。使えるのはChrome OS用アプリであり、まだまだ種類が少ない。今後、Chromebookのシェアが拡大すれば、アプリも開発されるのだろうが、現状では圧倒的に少ない。アプリによってどこまでも機能が広がるのがパソコンの良さだが、Chromebookはできることが限定される。例えば私が必要な機能では、CDのリッピングソフト、年賀状のあて名書きソフトが無いようだ。また、印刷機能が弱体で、写真のプリントが思うようにできないのも困る。(ChromebookをLinuxに切り替え、Linuxアプリを使う手があるのかもしれないが。)  あと、操作性に関わる問題だが、Chromebookはキーボードが独自のもので、US配列、JIS配列ともに、一部のキーがWindows用、Mac用とは異なっている。慣れれば済むことではあるが、Windows用キーボードに馴染んでいる当方としては、これもデメリットだ。  重箱の隅をつついてできないことを並べ立てたが、実際のところたいていのことはできる。多くの人のパソコンの用途は、ネット閲覧、メールやり取り、動画視聴、ビデオ通話・会議、ワープロ・表計算、静止画・動画編集、ホームページ・ブログ編集、軽いゲームといったところだろう。Chromebookはこれらをカバーしていてこれ1台で足りるのではないだろうか。それ以上の、プロが行うイラスト作成や静止画・動画編集作業、企業内のデータベースや会計等の専用ソフト、重いゲームなどについては、用途に向いたWindowsパソコンを使うべきだが。  私自身は、使途のほとんどが軽いもので、ヘビーユーザーではない。使途の90%くらいはChromebookでカバーできそうだ。それでも、アプリが多様な中から選択できる、基本性能が高い、データをクラウドに預けることに抵抗がある、ディスプレイやキーボードが使いやすい(これはノート型でなくデスクトップ型であるためで、OSの問題ではないが)といった理由から、Windowsのデスクトップパソコンを使っている。が、数年後の次回パソコン新調では、宗旨替えしてChromebookにするかもしれない。あるいは、それ以前に現在のWindows PCにCloudRedy OS(Chrome OSと兄弟分でほとんど類似のOS)を入れ、OSを切り替えて使うようになるかもしれない。それほどに、Windowsパソコンの煩雑さに比べて、Chromebookのメリットは魅力的だ。 ■旧パソコン2台の廃棄  パソコンの新調(PCその1、PCその2)により、デスクトップパソコン本体2台とデスプレイ1台が不要になった。 パソコンの廃棄は、粗大ごみとして回収してもらえないので少々面倒なものだ。メーカー製であれば「PCリサイクルマーク」が付いていて、メーカーに申し込むと無料回収になる。それが無い自作パソコンの場合、これまでの方法ではパソコン3R推進協会による有料回収だったが、リネットジャパンリサイクル(株)が無料回収を始めている。国の認定事業者であり、私の住む横浜市とも連携しているという。これを試すことにした。  ハードディスク、SDDは、取り外してデータバックアップ用ハードディスク、予備のシステムSDDとして保管しておく。廃棄対象のパソコン本体2台とデスプレイ1台は、大きい段ボール2箱に収まった。ネットで申し込み、1箱は無料、2箱目は有料1,500円、送料は無料だ。宅配業者が指定日に回収に来てくれるのは大変ありがたい。億劫なパソコンの廃棄が円滑に済んだ。