Wi-Fiのメッシュ化 -バッファローWNR-5400XE6P 2025年10月
無線LAN機器を新調し、メッシュネットワークにした。
■5年目の更新
無線LAN機器の寿命は5年程度と言われる。部品の経年劣化という意味ならもっと行けると思うが、通信の世界は進展が速く、機能的に陳腐化してしまうということらしい。特に不具合は無いが、前回更新が2020年7月で5年経過したため、更新することにした。
これまでの機器は5GHZ帯に対応したWi-Fi5で、親機 NEC Aterm WG2600HP3、中継機 WG2600HS・WG1200CRの3台構成だった。今の最新規格はWi-Fi7だ。考えた結果、Wi-Fi6Eのメッシュ機(3台構成)にした。
■今回の更新の目標
前回の更新では、PCオーディオ系のWi-Fiネットワークを分離することが主要目標だった。前回の記事
分離はできたのだが、オーディオの音質向上はさほどではなかった。さらに、自分自身のオーディオ志向がだんだん薄れてきた。高域の聴力が衰え、ヘッドフォンで聴かなくなって、ほどほどの音質で良しとし、それ以上のこだわりをやめたのだ。もはや、オーディオのためのWi-Fi分離は要らない。
わが家はWi-Fiに関して制約が二つある。これは前回更新時と同じだ。
(1)VDSLの制約
これは少し古い集合住宅に共通する問題だが、インターネット回線がVDSL方式だ。外部光回線から共用部の配線盤までは光ケーブルだが、配線盤から各住戸へは電話線(メタルケーブル)。
光配線方式ならば、住戸内まで全て光ケーブルで繋いで理論値1Gbpsの高速通信ができる。が、VDSL方式ではその1/10、100Mbpsが限界だ。これは集合住宅の配線方式を替えない限り解決できない。
(2)コンクリート壁の制約
わが家は、マンションだが細長い3LDKの間取りで、南側居間と北側2室との境目の廊下が両側のコンクリ-ト壁に挟まれ、ボトルネック状になっている。居間にVDSL方式の電話コンセント(モジュラージャック)があり、ここに無線LANルーター(親機)を置くことになるが、北側2室を直線で見通すことができず、無線電波が届きにくい。教科書的には、ルーターの置き場所を工夫すべしとなるが、実生活の中でこればかりを優先できず解決が難しい。
二つの制約のもとで、前回は中継機2台(北側書斎のパソコン、オーディオ専用にそれぞれ1台)置き、ネットワークを分離を優先していた。北側寝室には電波が届いていなかった。今回の更新は、オーディオ系のためのネットワーク分離は行なわず、北側寝室も含め、住戸全体にまんべんなく電波が届くようにすることを目標とした。
■新たな機器
電波を届ける範囲を広げるには、方法が二つある。①親機と中継機1台または複数台でリレーする方法。②メッシュ機複数台でメッシュネットワークにする方法。前回の更新の時点でもどちらにするか迷ったが、当時はメッシュがまだ普及していなかったのでリレー方式を選んだ。コンクリート壁の制約があるわが家でむらなく電波を届かせるには、メッシュ方式の方が向いているようだ。
バッファローのオンラインショップで、中級のメッシュ機WNR-5400XE6P の「整備済・再生品」がお安く販売されていた。これを3台購入。白い筐体で、インテリアに馴染む見た目なのは良い。
■機器の設定
「セットアップガイド」に従い、メッシュネットワークの標準規格EasyMeshにより親機(コントローラー)とメッシュ中継機2台(エージェント)の設定を行なった。簡単な手順で、問題無く完了。
インターネットへの接続も、「インターネット@スタート」(回線自動判別機能)に任せることで、IPv6、IPV6プラス・サービスによる接続が無事に完了した。
ついでに、3台のファームウェアのヴァージョンが最新ではなくバラバラだったので、最新ヴァージョンに更新した。
5年前の前回更新時にも感じたことだが、Wi-Fiは専門用語だらけで、なおかつ技術の進展が早い世界だ。何をどう設定しているのか、それがどういう意味になるのか、わが家の場合はどうするのが最適か、素人にはよくわからない。わからないままに説明書に従って設定することになる。「セットアップガイド」は手順の説明だけで、意味の説明は無い。わからなくて良いから、おとなしく自動設定に任せろ、という方式だ。入門書やネット上の情報を見ても、根本から素人に意味を説明してくれるものは無い。理解不足のまますっきりしないが、いかんともしがたい。
■結果
電波強度は、書斎で従前-38dBが-42dBとなり若干弱まったが、北側寝室は中継機無しだった従前の-90dBから-45dBに向上した。通信速度は書斎パソコンで、従前の下り50Mbps/上り20Mbpsが55Mbps/22Mbpsに若干改善された。どの部屋でもスマホでインターネットに接続できるようになり、目標を達成した。
コンクリート壁の制約のため、北側2室では親機からの電波がかなり弱いが、ちゃんとメッシュを構成してくれる。WNR-5400XE6Pは、従前のNEC Aterm WG2600HP3よりもアンテナ機能が弱いが、メッシュ方式が奏功したようだ。
■今後の課題
通信速度が遅いのはVDSL方式のためだが、それにしても理論値100Mbpsに遥か及ばない。大きな原因は、親機(コントローラー)の上流にあるVDSL装置(VDSLモデム)とひかり電話対応ホームゲートウェイ(ひかり電話ルーター)ではないか。二つともNTTからのレンタル機器で変更が難しいが、10年以上使っていて経年劣化が進んでいるだろう。より根源にさかのぼれば、VDSL方式そのものが問題なので、光配線方式への変更が根本的解決策だ。
どちらも個人で解決が難しい。
もう一つの課題であるコンクリート壁の制約は、住み替えない限り解決出来ない。
■その後の機器追加 (2025年12月 追記)
(1)書斎パソコン用無線LAN子機の導入(6GHz帯の活用)
WNR-5400XE6PはWi-Fi6E機で6GHz帯対応だ。せっかくなので、書斎パソコンで6GHz接続を試した。
パソコンは、Wi-Fi6対応のマザーボード(外部アンテナ付き)で6GHz帯には非対応。5GHz帯での接続だ。6GHzで接続するには、Wi-Fi6EのUSB接続無線LAN子機を付ければ良いので、バッファローのWiFiアダプター WI-U3-2400XE2を購入した。同社の無線LANドライバーをインストールし、従前のIntelドライバーを無効にして外部アンテナを外すことで、問題無く6GHz帯でインターネット接続できるようになった。
結果、通信速度は5GHzと変わらずで、速くならなかった。残念。6GHz帯が効果を発揮するのは5GHz帯が混雑している場合だが、わが家の近隣は2.4GHz帯のみの利用がほとんどで、5GHzは混雑していない。当面は5GHzで問題無いわけだが、6GHz帯を独り占めできるので、こちらを常用することにする。
(2)書斎ネットワークプレイヤー用無線LAN子機の導入
(1)のパソコン用子機導入の前に、エージェント機WNR-5400XE6Pの背面LAN端子からLANケーブルでパソコンに接続する実験をした。無線より安定するはずの有線接続をして、エージェント機(中継機)を子機として兼用するものだ。ところが、期待に反して受信強度が著しく弱く、通信速度も下がった。中継機は、信号を増幅して無線発信しているが、背面LAN端子からの有線LANはコントローラー機(親機)から受信した信号を増幅していない、ということのようだ。この実験で、子機とは単なる受信機能であり、増幅機能が無いと気づいた(気づくのが遅い)。この実験で有線接続をあきらめ、パソコン用は(1)のとおり無線LAN子機を導入した。
ネットワークプレイヤー用も同じことだ。10月の更新では、メッシュエージェント機WNR-5400XE6Pの背面LAN端子からLANケーブルでネットワークプレイヤーに有線接続し、子機を兼ねさせた。これでは、上記の実験のとおり受信強度、通信速度が低くなっていた。ネットワークプレイヤーにも別個の無線LAN子機を導入すべきだ。
わが家のネットワークプレイヤーTEAC UD-701Nは、LAN端子接続だ。また、DC12Vの自作超低ノイズ・リニア電源があるので、これを電源として使いたい。市販の無線LAN子機は、USB接続のものがほとんどで適合しない。このため、ルーターを子機モードで使用することにし、バッファローのエントリークラスのルーターWSR-1500AX2Lを購入した。
子機モードの設定は手動で行なった。まず(メッシュでなくリレー方式の)中継機モードにして2.4GHz帯のSSIDに接続する設定にする(TEAC UD-701Nが2.4GHz帯にのみ対応のため)。さらに中継機機能を無効化(無線機能を使用するのチェックを外す)すれば良い。中継機モードのままでも動作すると思うが、電波の輻輳による不具合を避けるため、2.4GHz帯専用の純子機にした。
これにより、ネットワークプレイヤーが安定してインターネット接続できている。
(1)(2)の機器を追加し、書斎のメッシュ・エージェント機WNR-5400XE6Pの設置場所を少し変えて、わが家のWi-Fiの更新、メッシュネットワーク化は完成。今後5年程度、このシステムで行きたい。