無線LAN機器の新調(PCその4) - NEC Aterm WG2600HP3ほか 2020年7月

 パソコンと周辺機器の記事が続くが、無線LAN機器を新調してネットワークの再編をしたので記録する。これでPCシリーズを終えたい。  マンション住まいでWi-Fiが届きにくい方、オーディオ関係のネットワーク分離を考える方のご参考になれば幸いだ。 ■わが家のWi-Fiの制約 (1)配線方式の制約  わが家は築35年の集合住宅で、インターネット回線はVDSL方式である。外部光回線から全戸の配線盤までは光ケーブルだが、配線盤から各住戸への引き込みは電話線(メタルケーブル)だ。  光配線方式ならば光ケーブルで自宅住戸内まで繋ぐので理論値1Gbpsの高速通信ができるが、VDSL方式ではその1/10、100Mbpsが限界だ。速度の低さは光配線化工事をしない限り解決できず、絶対的制約である。長期修繕計画で2027年予定の電気設備改修により光配線方式が実現することを望んでいるが、だいぶ先のことになる。  VDSLは、少し古い集合住宅に共通する問題だろう。 (2)鉄筋コンクリート壁の制約  わが家では、居間にVDSL方式の電話コンセント(モジュラージャック)があって、その近くに無線LAN親機を置いている。一方、デスクトップPC、PCオーディオを私の書斎部屋に置いているため、そちらに子機/中継機を設置し、無線LANで親機と結んでいる。  ところが、この居間と書斎の境目が、壁に挟まれたボトルネック状になっており、電波の障害物になる。わがマンションは壁構造の建物で、柱や梁の出っ張りが無い代わりに、鉄筋コンクリートの構造壁が多いのだ。  親機から子機/中継機が直線で見通せるのが理想だが、全然そうなっていない。電波は直進だけでなく反射もするらしいが、無線LANにとって厳しい状況だ。実際、Androidスマホの「Wifi Analyzer」アプリで電波強度を測ると、ボトルネックで強度が大きく下がる。教科書的には、親機、子機/中継機の置き場所を工夫すべし、ということなのだが、実生活の中ではこればかりを優先できない。  鉄筋コンクリート造の建物では、同様の問題が結構あるのではないだろうか。 ■従来の無線LAN機器  5年前にバッファローの無線LANルータ WZR-1750HP2を2台セットで購入し、1台を親機、もう1台を子機/中継機として使ってきた。WZR-1750HP2は、2013年12月発売の11ac対応機で、当時のバッファローの上位モデルだ。2台使いにしたのは、わが家の二つの制約を何とかしたかったためだ。      結果として、従来の機器での速度はダウンロードが50Mbps強、アップロードが20Mbps強(USENスピードテストで測定)。制約を考えればそこそこの水準で、動画などの読み込みが途切れて遅いが、それ以外では困ることなく使ってきた。  ただ、安定性が今一つで、PCを起動するとインターネットの接続が途切れている、ということが半月に1回くらいあった。子機/中継機の電源を入れ直すと復活するのだが、不安定で困っていた。親機、子機/中継機の電波の送受信能力が弱いのか。  ところで、今回の機器交代のプロセスで臨時に10mのLANケーブルでPCに有線接続したが、その時に速度を測定してみたら、やはりダウンロード50Mbps強、アップロード20Mbps強で同じだった。有線はもっと速いものと思っていたが無線と変わらない! そうすると、無線LAN機器を新調しても残念ながら速度向上は難しそうだ。  また、理論値100Mbpsの1/2にとどまるのは、LAN機器以上に、マンション配線盤からわが家のモジュラージャックに至る過程で問題がありそうだ。 ■機器新調の目標 ・目標1 通信の安定化  鉄筋コンクリート壁という障害物がある中で、接続が途切れない安定性が目標の第一だ。  速度向上も目標にしたいが、無線接続で有線接続以上の速度を出すのは難しいだろう。VDSL方式の限界に迫って、70、80Mbpsと速くなってほしいのはやまやまだが。 ・目標2 5GHz帯を使う  これまで無線の周波数帯の違いを意識していなかったが、障害物に強い2.4GHz帯、速度が出やすい5GHz帯、と特性が一長一短のようだ。また、2.4GHz帯は多く利用されて大混雑の状況がある。  できれば速度、安定性で有利な5GHz帯を使いたい。障害物に弱いので、鉄筋コンクリート壁のボトルネックをうまくすり抜けられるか、だ。 ・目標3 IPv6接続を活用する  従来からのIPv4接続はいわば渋滞する一般道であり、新しい高速道路に匹敵するIPv6接続にすれば通信速度が上がる、という。IPv6(IPoE)接続、IPv4 over IPv6(IPv6接続を介したIPv4接続)を活用し、高速化、安定化を図りたい。 ・目標4 PCオーディオ系ネットワークの分離  ネットワークオーディオ、PCオーディオが盛んになっているが、家庭内の一つのLANにオーディオ機器とその他の様々な機器(パソコン等)を一緒に接続するのではなく、ネットワークを分離すると音質上有利、と言われている。  ネットワーク上の機器は相互に頻繁に信号(ブローキャストパケット)を送りあっているので、そうした通信ノイズをオーディオ系から遮断すべしという議論だ。これまでハブを二重にすることで対策のつもりでいたが、対策になっていなかったようだ。この際、根本的対策であるネットワーク分離を試みたい。 【参考にした情報】  「デジファイのおと」 ネットワークプレーヤ用ネットワーク  「エルミタージュの鐘」 ネットワークオーディオをネットワークに接続してはいけない ■新たな無線LAN機器 ・無線LAN親機 NEC Aterm WG2600HP3  Wi-Fi 5規格(11ac対応)でのNEC最上位機種で、人気があるようだ。2018年7月発売で、従来のWZR-1750HP2より世代が5年新しいだけに、アンテナ等の性能向上があって期待できそうだ。IPv4 over IPv6、ネットワーク分離に対応するなど、機能面も充実している。  なお昨年あたりから、次世代の高速通信規格、Wi-Fi 6の機種が出てきている。が、VDSL方式のわが家では宝の持ち腐れだ。また、複数中継機で有機的なネットワークを組むメッシュWi-Fiの機器も興味深いが、鉄筋コンクリート壁問題があるわが家では、アンテナ性能が高いWG2600HP3の方が有利、と判断した。 ・無線LAN子機/中継機(1) NEC Aterm WG2600HS  書斎のデスクトップPCのインターネット接続、書斎でのWi-Fiのためなので、高速で安定した接続をしてくれる子機/中継機が望ましい。無線LAN子機(無線LANアダプタ)として売られている小型の製品もあるが、親機として使う無線LANルータをスイッチの切り替えで子機として使うことができ、据え置きで使うならばその方が高性能のようだ。これまでWZR-1750HP2を2台、親機と子機/中継機として使ってきたのもそのためだ。  今回の新調でも、親機と同一機種のWG2600HP3をもう1台、というのが性能的にはベストだが、コストがかかる。1ランク下位だが同じアンテナ数、実売価格は2/3のWG2600HSにした。結果としては、これで問題無かった。 ・無線LAN子機/中継機(2) NEC Aterm WG1200CR  分離独立させるPCオーディオ系ネットワークの専用として、子機/中継機をもう一台導入した。  音楽サイトからダウンロードして聴くことがあまり無い私の場合、PCオーディオ系のインターネット接続速度は問題でない。最小限のスペックで最廉価(WG2600HP3の3割)のWG1200CRにした。  結果は、これでも特に速度は遅くならずほぼ同等とわかった。意外! 貧弱なアンテナ性能でも、WG2600HP3からの電波を同等に受信できる、送信は性能が落ちるということだろうか?     ■v6プラスの設定  プロバイダーとして使っている@niftyは、IPv4 over IPv6接続である「v6プラス」に対応している。  このサービスを利用するには、対応するゲートウェイまたはルータが必要、ひかり電話がタイプ1でなくタイプ2であることが必要、などの条件がある。  ゲートウェイ(従来からのひかり電話ルータRT-S300NE)もルータ(新たな親機WG2600HP3)も対応しており、この点はまずOK。  ひかり電話については、Bフレッツ時代からの利用契約なので、旧いタイプ1の可能性大。NTT東日本の問い合わせ先(0120-116116)で確認してもらったところ、意外にもタイプ2だった。5年前に@niftyのIPv6接続オプションを申し込んでいるので、この時に変更してくれたのかもしれない。  具体的な設定だが、まずゲートウェイを初期化し工場出荷状態にした上で、WG2600HP3を接続。次に、WG2600HP3の設定画面(クイック設定Web)で「自動判定」をON(回線を自動判定して設定する)にしたところ、「v6プラスモード」になってくれた。自動判定にお任せしただけの設定だ。  IPoE方式によるIPv6接続、IPv4 over IPv6が実現し、ひかり電話も従前どおり通話できる。まずは成功だ。  ただ、速度はダウンロードが50Mbps強、アップロードが20Mbps強のまま特に変わらず、がっかり。もともと、速くなるというより、混雑が少ないので遅くなりにくい、ということなのだろうから当然か。  v6プラスが利用できるようになったのは良いが、WG2600HP3任せの設定なので、何がどう設定されたのかわからない。WG2600HP3を使ってv6プラスを利用しているのは確かだが、ひかり電話が使えるということはゲートウェイのルータ機能も生きているのかもしれない。ゲートウェイ(RT-S300NE)とルータ(WG2600HP3)のルータ機能が重複する多重ルータ状態になっていないか気がかりだ。  多重ルータの有無はtracertコマンドで確認できる。が、セキュリティ対策でtracertへの反応を止めた設定なのか、デフォルトゲートウェイは別として、他の経由ルータが全てタイムアウトになってしまい確認不能だ。  ルータWG2600HP3の設定状況を「クイック設定Web」で見ると、   動作モード:ローカルルータ、v6プラス   Ipv6動作モード:ND Proxy   PPPoEブリッジモード:OFF である。一方、ゲートウェイRT-S300NEの設定を「Web設定」で見ると、   接続先:未接続(未設定)   IPv6セッション接続:待機中   電話:使用可能   PPPoEブリッジ:使用する となっている。ゲートウェイのルータ機能を止め、なおかつひかり電話は使える絶妙の自動設定なのか。よくわからない。 ■ネットワーク分離の設定  無線LANルータのマルチSSID機能(WG2600HP3は「ネットワーク分離機能」と呼ぶ)は、自宅用とは別に来客用Wi-Fiを設けるといった場合を想定しているようだ。SSIDがオーナーSSID、ゲストSSIDの2種類になり、パスワードも別のものになる。ゲストSSIDのネットワーク分離機能がONなら、ゲストSSIDのWi-Fiに繋がる機器からは、オーナーSSIDの機器にアクセスできない。オーナーSSID側もしかりで、ネットワーク分離機能をONにするとゲストSSID側にアクセスできなくなる。  この機能を使って、オーナーSSIDのWi-FiにPCその他の一般機器を接続し、ゲストSSIDのWi-FiにPCオーディオ系機器を接続すれば、一般系、PCオーディオ系、二つの分離されたネットワークができることになる。  実は、当初は、子機/中継機のWG2600HSにネットワーク分離機能を設定し、それ以降のネットワークを分離しようと考えた。ところが取扱説明書を読むと、設定できるのは親機として使う場合だけだ。親機WG2600HP3の段階で分離することとし、必要となる第二の子機/中継機としてWG1200CRを追加購入した次第だ。  具体的な設定は、親機WG2600HP3の「クイック設定Web」の「Wi-Fi詳細機能(2.4GHz帯)」画面で、ゲストSSIDを選択し、「Wi-Fi機能」を使用するにし、「ネットワーク分離機能」は初期設定がONなのでそのまま。次いでオーナーSSIDを選択し、(「Wi-Fi機能」はON固定なのでそのままとし、)「ネットワーク分離機能」をONにする。それだけだ。  こうしてできたゲストSSIDには、PCオーディオ系機器として、NAS、オーディオ用PC(ネットワークプレイヤーに相当)、操作用Androidタブレットの三つを接続する。混雑して低速でもかまわないので2.4GHz帯に設定した。  5GHz帯は分離を設定せず、オーナーSSIDだけで使う。こちらは、わが家の場合はデスクトップPC、ノートPC、スマホ2台、BDレコーダーが接続するネットワークになる。すなわち、オーナーSSIDは高速で空きがある5GHz帯を優先して使い、オーディオ用のゲストSSIDは2.4GHz帯、と使い分ける。  懸案だったオーディオ系ネットワークの分離独立が、意外と簡単に実現した。  二つのSSIDのどちらに繋がるかで分離し、実態として二つのネットワークになっている。実際、一般系のWindows PCからPCオーディオ系のNASに対してpingでパケットを送っても到達しない。  ただ、ネットワークが分離すると、ゲストSSIDとオーナーSSIDのIPアドレスは、192.168.m.nのmが違う数字になるものと考えていたが、そうはならなかった。同一セグメントの中でのネットワーク分離になっている。どういうことなのか?  セグメントが同一のままで、本当にブローキャストパケットが遮断できているのか、とも思ってしまう。pingのパケットが通らないということは、ブローキャストパケットも同様に遮断されていると思うのだが・・・。これまた知識不足で確信が持てない。  なお、今回のネットワーク分離は無線LANルータのマルチSSID機能を使って実現しているが、一般にはVLAN機能を持つスイッチングハブを使う方法、簡易的にはルータを多段化する方法が使われるようだ。明示的な、異なるセグメントのネットワーク分離ができる。  後者の方法は、子機/中継機のWG2600HSの後に、WG1200CRをルータモードで直列に接続することによりできそうなので試みた。しかし、静的ルーティングの設定ができず、ネットワーク分離にたどり着けなかった。ネットワークの世界は手強い。  ネットワーク分離にはデメリットもある。これまでは、PCでCDからリッピングして直接NASに保存していた。また、PCのDLNAコントローラー・アプリ「Upplay」で音楽再生を操作してきた。ネットワーク分離によりこうしたPCの利用ができなくなった。一般系のPCとオーディオ系機器とを相互認識できないようにしたのだから当然だ。  リッピング時には臨時にPCをオーディオ系ネットワークに(またはオーディオ機器を一般系に)接続する、ゲストSSIDのWi-Fiに接続したAndroidタブレットで「fidata Music App」等のDLNAコントローラーを使う、といった方法になる。これは致し方ない。  それで、肝心の音質への影響は? まだゆっくり試聴していないが、何だか静かになり、音色の細かいニュアンスが聴こえ、コントラストが増したような印象もあるが、どうか。しばらく聴いた上で報告したい。 ■まとめ  知ったふうに書き連ねたが、自分としてちゃんと消化し、裏付けを持って書いているわけではない。受け売りばかりで、我ながら自分の言葉になっていない。勘違い、間違いもあるかもしれない。  通信・ネットワーク関係は、ハード、ソフトの技術の累積であり、専門用語・メーカーの独自用語も多くて素人にはわからないことだらけだ。よくわからない概念を調べても、別のわからない概念に繋がるばかり。NECにせよ、バッファローにせよ、メーカーの説明はノウハウの情報であり、ノウホワイではない。ブラックボックスの世界だ。入門書を3冊ほど読んだが、その程度ではとても追いつかない。今回の機器入れ替え、ネットワーク再編は、根本がわからないまま、ノウハウ情報を集めて表面的に実行しただけ、というのが実態だ。  例えばだが、電波法の基準で、どこのメーカーのどの無線LANルータも電波出力は10mW以下に抑えられていて横並びだという。上位の機種が下位機種より強力な電波を発信する、というわけではないのだ。では、どの機種が電波がよく届き、安定して繋がる良いルータなのか? アンテナがポイントなのか、「MU-MIMO」「ビームフォーミング」等々の新機能が有効なのか? 逆に、不安定な接続は何が原因なのか? 結局のところ価格に比例するのか? そんな基本的なこともわからない。  自分の今いる状況を知っていたい、どうするか自分で決めたい性分の私としては納得がいってないのだが、とにもかくにも目標とした安定性、5GHz帯利用、IPv6接続導入、ネットワーク分離は実現した。  第一の目標だった安定性だが、これまでのところインターネット接続が不意に途切れることは無く、所期の目標を達成した感じだ。PCやスマホなど一般系Wi-Fiは、障害物に弱いという5GHz帯で接続しているが、まずまず送受信できているようで、問題なく実用できている。  速度については、従前と同じダウンロードが50Mbps強、アップロードが20Mbps強で、数字の向上は無かった(USENスピードテスト、NTT東日本SPEED TESTで測定)。ただ、体感的には大幅ではないが向上した印象で、写真が多いサイト(例えば、私の写真プロジェクトのページ)の表示が速くなったし、動画の読み込みも多少円滑になっている。  これはうれしいことだ。電波干渉や渋滞が改善されたのだろうが、何が功を奏したのか。アンテナ性能が従来の機器より向上したためか、5GHz帯利用やIPv6接続が良かったのか、単に機器・ケーブルの新調で端子の電気的接続が改善されたのか、その他の要因が複合・総合した結果なのか。よくわからないままだが、NEC Aterm WG2600HP3に新調して好結果が得られた。  無線LAN機器は技術進歩が早いようだ。わが家のような無線電波にとって悪条件の環境では、5年毎くらいで最新の上位機種に交代させると良いのだろう。 ■ネットワーク分離のPCオーディオへの効果(追記 2020年8月)  上記記事の後、約1か月使用し、PCオーディオへの効果確認を試みた。具体的には、何度か次の二つを聴き比べた。   A:オーディオ系と一般系のネットワークを分離した状態 (上記記事の接続・設定)   B:分離せず同一のネットワークの状態 (従来の接続・設定の再現)  結論から言えば、ほとんど効果無しである。あってもほんの僅かだ。Aの方がリアルさで優る感じもするが、気のせい程度のレベルで明白な差ではない。  どうして差がほとんど無いのか? 二つの仮説を考えた。 仮説① A、Bともに悪い状態である  Aは真のネットワーク分離が実現しておらず、実際にはブローキャストパケットの遮断ができていないのではないか。頻繁にパケットが行きかって影響を及ぼしているのはBと変わらない。A、Bどちらも悪い状態のため、音質に差が出ない。Aが僅かに有利とすれば、PCと有線LANで繋がっていない分、受けるノイズが少ないことだ。 仮説② A、Bともに良い状態である  PCオーディオの音楽再生ソフトとして、lightMPDとlightMPD/upnpgwを「イーサーネットの分離(UPnPモード)」で使用している(関係記事)。今回、改めてソフトの開発者、「デジファイのおと」 digififan氏の説明を読み返して、lightMPD/upnpgw(一般系ネットワークからの入口)からlightMPD(プレイヤーの核心部分)への信号受け渡しにLANケーブルを介しているのは、まさに通信ノイズ遮断を意図してネットワーク(イーサーネット)を分離した設計である、ということを今更ながら理解できた。ちゃんと「イーサーネットの分離」と名づけているでしょうが、と言われそうだ。  つまり、Bの場合も、重要部分を守る内堀が既にあったのだ。それを知らずに、さらに外堀を設けたのがAだ。このため両者はともに良い状態で、差が出ないのだ。  この試聴中に思いついて、音楽再生の途中でNAS(スイッチングハブ経由)からlightMPD/upnpgw(を入れた小型PC APU.2C4)へのLANケーブルを抜いてしまう実験をした。抜いた瞬間、物理的に、完璧なネットワーク分離、ブローキャストパケット遮断の状態になる。NASとの繋がりも切れるが、楽曲データはAPU.2C4のメモリーにキャッシュされていて再生が数分間途切れないので、ケーブル抜き差しで比較試聴が即座にできる。通信ノイズの影響を受けている状態ならば、ケーブルを抜けば音質の変化(たぶん向上)があるはずだ。  結果は、音質に変化が無かった。ということは、どうやら仮説①は間違い、仮説②が正しいようだ。lightMPD・lightMPD/upnpgwのシステムは大変よく考えられて出来あがっている。完成度の高さに、改めて感嘆してしまった。(この実験を事前に思いつけば良かった!)  ネットワーク分離は今回の目標の一つだったが、lightMPDシステムについての私の理解不足のため、無駄骨だった。マルチSSID機能によるネットワーク分離自体はおそらく有用で、lightMPDシステムでなく市販のネットワークオーディオプレイヤーを使っていたなら音質向上効果は出ていたと思う。(どなたか追試をしませんか?)  まあ、念には念を入れたシステムにしたと考え、ネットワーク分離の接続・設定で使っていきましょう。