ドイツ ヴェーザー川自転車道 - 紀行編 2019年9~10月

●テーマ  初の海外自転車ツーリングとして、ドイツ観光旅行に自転車を携行する。「ヴェーザー川自転車道(Weser-Radweg)」がその中心だ。  自分一人、個人手配の旅なので、気ままにのんびり走って、北ドイツの文化に触れ、メルヘン街道の町々の景観、川沿いの田園風景を楽しむ。  自転車道、自転車レーンがよく整備され、鉄道に持ち込むことができるという、ドイツの自転車を取り巻く環境を自分の目で見る。 ●行程・日程の計画  ヴェーザー川は、ドイツ中央部から北西に流れ、北海に達する。自然河岸で堤防が無く、かなり蛇行がある。ヴェーザー川自転車道は、川に大まかに沿った形の自転車専用道だ。上流のハン・ミュンデンから北海に面するクックスハーフェンまでの522kmが全長だが、短縮してハン・ミュンデンからブレーメンまでの380kmを6日間で走ることとした。       地図はWikipedia「ヴェラ川」より引用  この自転車道の総合案内サイト https://www.weserradweg-info.de/ があり、ルート地図、観光案内、宿泊案内などが掲載されていてプラニングに大いに役立つ。  このサイトでは、ハン・ミュンデンーブレーメン間が60km前後の距離の6区間に分けられている。区間の起終点は少し大きい町になっているが、これは宿泊の利便、鉄道でのアクセスなどが考慮されているのだろう。    第1区間 Hann. Münden から Höxter 70.8km    第2区間 Höxter から Hameln 68.4km    第3区間 Hameln から Minden 68.7km    第4区間 Minden から Nienburg 58.3km    第5区間 Nienburg から Verden 59.0km    第6区間 Verden から Bremen 54.7km  距離が最初の三日間が長め、後の三日間が短め、という点が気になるが、この6区間をそのまま、1日1区間の行程にすることにした。宿はNienburgとBremenは事前予約しておき、その他はその日の天気や体調もあるので決めずにおく。  9/27にフランクフルトに到着するが、時差で疲れがあるはずなので、翌日はフランクフルト市内観光、翌々日はライン川・ケルン鉄道往復観光をしながら身体を慣らす。9/30~10/5の6日間がヴェーザー川自転車道ツーリングだ。  なお、旅程計画と並行して自転車・装備の準備を行ったが、別記事に記す。   ドイツ ヴェーザー川自転車道 - 準備編 ●第1日 9月30日(月)  フランクフルト中央駅6:49発のICE(超特急)を、2等自由席と自転車指定スペース券で事前予約している。夜明け前にホテルを出、駅でサンドイッチを買って朝食。  ホームで列車の自転車スペースがある24号車を探していると、大男の車掌がドイツ語でまくしたて、「こっちだ」と手招きする。最後尾の1号車、1等席車両で自転車車両ではないし、ドイツ語がまるで分からないので戸惑っていると、「いいから自転車を持ち込んで、お前もここに座れ」という感じで強引だ。  どうやら、臨時に車両編成が縮小され、24号車が無くなったための、特別の措置らしい。ドイツ鉄道、意外と大雑把だ。最後尾の、ガラス越しに運転席が見える予備スペースのようなところで、他に客も無く、ゆったりさせてもらった。  カッセル駅(Kassel Wilhelmshöhe Bhf.)でRB(各駅停車)に乗換えて、ハン・ミュンデン駅に到着。いよいよ自転車ツーリング、開始だ。  まずは、ハン・ミュンデンの街並みを自転車散歩。二つの川が合流してヴェーザー川になる地点の小さな町だが、木組みの家が並ぶ旧市街がそのまま残っている。  橋を渡って町を抜けると、これが自転車道の始点か。  車道から独立した自転車道だが、ヴェーザー川隣接とは限らず、ついたり離れたりだ。川沿いを真っすぐ行けば良さそうな所で、不合理なクランクや、登り下りがある。地権者の協力が得られなかった箇所か、と想像する。  雲が低い、こんな空模様が多い。  直前に嵐があったようで、湿った落葉や小枝、栗のイガなどが路面を覆う箇所があって、乾いた車道を走りたくなる。が、車道は川の景色から離れ、早く前に進むだけになるので、それまたつまらない。  舗装路ばかりとは限らず、こんなハイキングコースのような箇所もある。  天気は、晴れ間、曇、小雨が何度も入れ替わり、横風、向かい風も吹く。写真のような、のどかな景色の中を快走できる場面もあるが、そうでないことが多かった。(そんな時にはカメラを取り出す余裕もないので、写真は無い。)  それやこれやで、時速20kmくらいを維持したいのだが速度が上がらない。  途中のWürgassenで渡し船があった。この写真の後、手前の岸に迎えに来てくれた。船には動力が無く、舵で川の流れをうまく使って斜行し、対岸のHerstellに渡る。上に張ったワイヤーは流されない安全のためか。正規ルートは少し先の橋だが、1.5€の渡し船の方が楽しいし、らくちんだ。こんな渡し船が、ところどころに残っている。  結局、目標のへクスター(Höxter)手前10kmのベーヴェルンゲン(Beverungen)で15時半になり、疲れもかなり出てきたので本日はこれまで、宿を探すことにした。  観光案内所で教えてもらい、寝具店が経営する民宿 Betten-Paradies & Pension Schübeler に決めた。ベッドはさすがに快適だった。  民宿というと、民家の一室でオーナーとの交流があると想像していたが、到着して部屋に案内された後は、素泊まりで前払いなので接触が無い。翌日のチェックアウト時も、鍵をテーブルに置いてそのまま出る、といった調子だ。この民宿に限らず、他所でも同様で、気ままに過ごせるが、あっさりして物足りない印象だ。北ドイツの人達の気質なのかもしれない。  この日の走行、Hann.Münden - Beverungen間 約60km。 ●第2日 10月1日(火)  明け方の雨があがり、まだ薄暗い7時40分に出発。川の左岸を行く。しばらくは川の脇の道で景色が良いが、雨がポツポツ来て楽しんでいられない。  Höxterを通り過ぎ、正規ルートはHolzmindenで橋を渡って右岸だが、そのまま左岸を走った。午前中、何度か小雨が降っては止みだったが、最後はPolleでどしゃ降り。スーパーの喫茶店で雨宿りだ。写真の正面上は中世のポレ城の城址。  昼食を兼ねて1時間ほど待ち、雨が止んできたので、出発。  すぐ近く、ポレ城の下に自動車も載せる大型渡し船があり、渡って右岸の正規ルートに戻ろうとしたが船が来てくれる様子が無い。橋はしばらく無いので、そのまま左岸を走って、7kmほど先の集落、Graveの渡しを使うことにした。これが失敗だった。  Graveの渡しに着いたら、船はあるが船頭さんが不在で渡れない。1時過ぎまで待ったが来ない。個人がやっている小舟の渡しで、休むこともあるのだろうが、困った。  あきらめて、左岸をさらに先まで行ってみたら、落石・崖崩れの標識があって全面通行止め。  どうしようもなく、Polleの渡しまで戻らざるを得なかった。往復15km、2時間のロスだ。対岸から見ると、問題の箇所は切り立った崖で、今にも剥がれ落ちそうな岩だ。なるほど、正規ルートには理由がある。  天気はその後回復し、暖かくなった。3時前にBodenwerderに着いた。  この町のユースホステルに行ったが、鍵がかかっていて誰もいない。もうシーズンを終えて休みなのか。他の宿も見当たらず、もう少し先に行くことにした。  小さな集落Daspeで、ちょうど自転車道沿いに Flower Powerという名の宿があった。飛び込みで入ったら受け入れてくれ、助かった。  ここは、農家が兼業でやっているホテルガルニ(簡易ホテル)だった。まあ民宿と同じだが、朝食付きだとホテルガルニになるらしい。自転車は納屋に置くことができ、雨の泥汚れを落とすことができた。  この日の走行、Beverungen - Daspe間 約60km+ロス15km。 ●第3日 10月2日(水)  夜明け前に小雨が続いたが次第に弱まり、7時半の出発時には止んでくれた。まだ薄暗い前方に、Grohndeの原発が盛大に蒸気を上げている。  7、8km行くとHamelnの町だ。グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」の舞台だ。物語はネズミの駆除からはじまるが、これは、ネズミがヴェーザー川河畔の水車の製粉所の脅威だったということ。この川あってのお話なのだ。  ハーメルンも、古い街並みをよく残していて美しい。写真は町の中心部。  この日は、その後もほとんど晴れてくれた。今日は、これまでの遅れを取り戻すべく、Mindenまでの85kmが目標。天気次第と思っていたが、それがかなった。  唯一、風の向きが問題で、無風や追い風なら楽だが、向かい風では時速15km以下に落ちてしまう。見渡す限り畑の中の一本道で吹きさらされるとしんどい。  頑張って走っていたが、Vlotho市域のBorlefzenで小事故に遭遇した。緩やかな下り坂の下で、路面の窪みに突き当たり、ガツンと衝撃を受けた。舗装の剥がれか、排水口の蓋が一部開いていたのか、目立たず気づけなかった。  一瞬ハンドルを取られたが、転倒せず、身体の怪我が無かったのは幸いだった。自転車は、前輪リムに凹みが出来、ブレーキをかけるとガクガク振動するようになってしまった。車輪の振れも出たが、フレームやフォークは大丈夫そうで、走行は一応できる。目標のMindenまでまだ20km以上あるので、進まないわけには行かない。  すぐ先のUffelnまで着いてから一休み。  ヴェーザー川の川沿いではあるが、平野部に入り景色が単調になってきた。走っていて面白みが無い。最後ににわか雨があって、Mindenに到着した。これで、第3区間に追いついた。  Mindenはそこそこ大きな市なので、通信環境も復活。スマホで宿を探すことができる。ホテルは高いので、安い宿を見つけ訪ねたら、今日は休みなので、と断られた。明日の祝日にかかるから、ということか。  観光案内所に行ったら、英語が堪能なスタッフが親切で、素泊まり45€の宿に電話して交渉し、OKを取ってくれた。Gästhaus am Botanischen Gartenがこの日の宿になった。若夫婦が、大きな新築の一軒家の2階の部屋を貸しているようだ。ペンションは年金生活者が営むもの、若い世代なのでゲストハウスということなのだろう。部屋は広くて清潔、共用の台所・バスルームも相客が無く気兼ねなしに使える。良い宿だった。  この自転車道ツーリング中は、まだ日が高い3時半頃に目的地に到着し、宿を探すようにしていた。宿が決まってチェックイン。シャワーを浴びて洗濯、その後、買い出しに出る。商店街やスーパーで、翌日の朝食・昼食用のパンとチーズ、飲み水の調達だ。  夕食は、レストランでのディナーは重過ぎるし時間もかかるので、ケバブ店でドネルサンドなどを食べることがよくあった。ドイツ風料理で不足気味の野菜がたっぷりなので、ビタミン補給になる。あるいはスーパーで、パンとチーズ、ハム、野菜類、ビールを買って、宿で食べることもした。  この日は、ケバブ店のハラフェルにした。ケバブ店はビールを置いてないので、別に購入して宿で。地元産ではないが、ケルンのビール、Kölschが美味くて気に入った。  この日の走行、Daspe - Minden間 約85km。 ●第4日 10月3日(木・ドイツ統一記念日)  朝7時過ぎまで雨だったが、小降りを待って出発しようとした。ところが、前輪のタイヤの空気がすっかり抜けている。昨日のリム打ちでチューブが傷み、少しずつ抜けたのだ。チューブ交換をして8:15出発。ミニポンプで、何とか7割位の空気圧にして走る。  この日は、雨が何度も降った日だった。パラつくくらいは走り、それ以上になると、大きな木の下、屋根のあるバス停などで雨のあがるのを待つ。風が吹かないだけましか。  モンベルのレインウェア上下を朝からずっと着続けた。雨があがってそのまま走っていると暑くなるのだが、上着のファスナーを大きく開け、腕まくりをすれば、結構行けることがわかった。格好は良くないが。  自転車も泥だらけだ。ブレーキのシューが泥を噛んで、消しゴムのように擦り減る。  走行ルートはヴェーザー川から離れることが多くなり、景色は面白くない。  さらに、Ovenstädtを過ぎるあたりから、標識が赤文字から緑文字に変わり、とたんに地図に無いローカルな地名が多くなってわかりにくくなった。次は、Großenheerseを目指したいのだが標識に無い。ちょっと似た Großes Moorという標識があってそちらに行ってしまった。あさっての方向で、往復20kmほどロスした。  後で調べると、この辺りは赤文字標識のNordrhein-Westfalen(ノルトライン・ヴェストファーレン)州と緑文字標識のNidersachsen(ニーダーザクセン)州の州境が複雑に入り組んでいる。ヴェーザー川自転車道のルートは両州を何回かまたぐ。にもかかわらず、州同士の協調が乏しいのか、隣の州の地名は標識に載っていないようだ。  ニーダーザクセン州の標識は、ヴェーザー川自転車道に限らず、数多いローカル自転車道の行き先表示でもあるようで、ローカル地名があちこちの方向を指している。そういえば、出発地のハン・ミュンデンがニーダーザクセン州の南端で、やはり分かりにくい緑文字標識だった。  ニーダーザクセン州を走る時は、よくよく注意しないといけない。ヴェーザー川自転車道にシンボルマークを付けるとか、別の色で示すとか、してくれると良いのに。  こんな時のドイツ語。Schlecht! (ひどい!)   写真の標識は2方向なので、ましな方だ。  こんな、静かに落ち着いた集落を通過した。レンガづくりの建築で、木組み漆喰の建物とはまた違う風情だ。  この日は、東西ドイツの統一記念日で祝日だ。民宿が休みの可能性を考えて、この日だけはNienburgの三ツ星ホテルを事前予約していた。宿が決まっていると安心だ。  2時半頃、Nienburgに到着した。ホテルは、この地の老舗のようで、レストランが格式高い感じだ。自転車ツーリストとしては、ゆっくり優雅なディナーという余裕がなく、祝日でも開いていた町のケバブ店で、さっさと食べる食事にした。  この日の走行、Minden - Nienburg間 約60km+ロス約20km ●第5日 10月4日(金)  早朝、スマホアプリ AccuWeatherの予報を見ると、温帯低気圧の影響でドイツ国内は荒天、一日ほとんど「雨」という。「一時雨」、「にわか雨」でなく「雨」である。雨にはうんざりしており、今日の走行を断念。鉄道で今日の目的地Verdenにまで行くことにした。  RE(快速)で30分足らず、9時過ぎにもうVerden駅に到着。自転車道がいかに蛇行して距離が長くなっているかだ。  駅のベンチでずっと待ってもいられず、小雨の時に宿を探そうと、一軒のプライベート・ジンマーに行ってみたが、満室と断られた。別のホテル・ガルニに回ってみたら、午前10時台にもかかわらず、チェックインしてくれた。「Thöles Stadt-Gut-Hotelに投宿。  身体の疲れが溜まっていたようで、午前中、部屋で昼寝してしまった。  ホテルの建物は安手だが、自転車ツーリング旅行者向けの配慮があり、機能的で良かった。生乾きだった洗濯物を干し、泥だらけの自転車の洗車もできた。自転車用のガレージがあり、水場があってバケツやじょうろまであったのはありがたい。  結局、この日の雨は昨日と同程度。走れたとも思うが、結果として良い休養日になった。  この日の走行距離、Minden - Verden間 約2km。 ●第6日 10月5日(土)  ホテルの朝食が土曜日のため、遅くて8時。出発は8時45分に遅れた。前夜、しっかり睡眠を取ることができ、身体は好調。  ヴェーザー川から離れたルートで面白くは無いが、晴天無風で、サイクリング日和。快調に飛ばすことができた。この日、50kmほどの短い距離なのが物足りないくらいだ。  しばらくぶりにヴェーザー川に出会う。下流になって、川幅が広くなっている。  暖かな陽射しで、良い感じの並木道。ここで休憩し、自前のチーズ・サンドイッチで昼食をとった。  ヴェーザー川はずっと自然河岸だったが、ブレーメンの手前、このあたりからは土手がある。土手の外側、木の左手には住宅がある。  もうちょっとでブレーメン、中心部の教会が見えてきた。のどかな公園で最後の一休み。  ブレーメンの街に到着。私のヴェーザー川自転道ツーリングはここで終了だ。  この日の走行、Verden - Bremen間、約50km。 ●まとめ  ヴェーザー川自転車道は、ほぼ平坦で坂が少なく、一日60km前後なら楽々行けると予想していた。実際、第一日目こそ山あいの土地で、坂やハイキング道のような箇所があったが、その後は平坦だった。コースとしては容易な部類だ。  しかし、予想以上に天気に振り回された。ドイツの天候は一般に気まぐれで、6~9月が比較的安定、と言われている。9/30~10/5の今回のツーリング期間は、10/2と10/5の二日以外は雨に降られた。風もなかなか強く、向かい風がつらい日があった。気温も、朝の出発時は10度以下と低かった。皮肉にも、ツーリングの後は雨の日が減ったが。  この季節はやはりベストシーズンではない、ということだろう。しっかりしたレインウェア上下を持参して行ったのは良かった。  自転車道の路面は、アスファルト舗装が多いが、ブロック舗装、石畳、未舗装も結構あった。気まぐれな雨で路面が濡れていることも多い。地元ドイツのサイクリスト達が、太いタイヤと泥除け付きの自転車に乗っている理由が納得できた。ドイツの自転車道は、ロードバイクの細いタイヤでの走行を予定していないのだ。  第3日に、路面が原因でリム打ち事故に遭った。そのまま通過して走行を続けたので、原因箇所を確認していない。舗装の剥がれ穴か、排水溝蓋の欠けか、と考えるが不明だ。路面の維持管理不十分ということだが、長い自転車道を完璧に保つ難しさもわからないではない。ドイツの自転車道といって安心せず、路面に十分注意して走行すべきだ。  なお、帰国後にこの事故で損傷を負った前後輪のリム等を修理したが、修理料金は加入していた海外旅行保険(AIG損保)の携行品損害特約で全額補償され、助かった。  ヴェーザー川自転車道は、ほとんどが幹線級の車道から離れている。小さい集落を通過することはあるが、大きな町の中心部を通ることは無い。このため、道沿いに店が無い。  自動販売機もコンビニも無い国であり、小さな集落ではパン屋もカフェも無いのだ。休憩や昼食ができる適当な所が無く、食べ物や水の調達にも困ってしまう。  大きい町に通りかかった時、ルートから外れて市街地に入り、店を探すというのが方法の一つだ。ただ、ちょうど良いタイミングで大きい町に当たらないので、前日のうちに宿泊地でパンと水を買っておくようにしていた。  もう一つ、トイレにも困った。ドイツは、一般に公衆トイレが少ないが、自転車道では一層だ。事前に自転車道案内サイトで調べたところ、ルート近くの公衆トイレは数か所きり。これまたタイミングの問題があるので、困ることになる。  大きい町でカフェに寄ってを基本としたが、切実な場合にはやむを得ず自転車道脇の木陰で失敬させてもらった。見渡す限り畑で人の姿がない、他のサイクリストに出会うこともないといった状況なので助かった。  全体にはよく整備された自転車道と思うが、プランニングの際にはこうした問題も頭に置くと良いと思う。  自転車道ツーリングの後は、鉄道でハンブルク、アイゼナハ、ライプツィヒの各都市を訪れた。ドイツの鉄道は、自転車をそのまま持ち込むことができるので、そのまま携行して観光した。  各都市の市街地はほとんどが自転車レーンを整備していて、安全に自転車に乗ることができた。観光スポットだけでなく一般の地区を回れば、その都市の実態、人々の暮らしぶりを窺い知ることができる。自転車携行の旅ならではの利点だ。