オリンパス E-620は良くできたカメラだ - カメラあれこれ 2014年2月
■オリンパス E-620 現在のメイン機である。レンズは、標準ズーム(ZD ED 14-42mm F3.5-5.6)、標準(ZD AL 25mm F2.8)、中望遠マクロ(ZD 35mm F3.5 Macro)、中望遠マクロ(ZD ED 50mmF2.0 Macro)の4本。 2009年3月発売、その年に買ったフォーサーズ規格のデジタル一眼レフだが、オリンパスはマイクロフォーサーズのミラーレス一眼に移行してしまったので、進化の袋小路に置かれたカメラである。 それをおけば、下級機ながら機能のバランスがとれて完成度が高い、良くできたカメラである。私のもとでは5年目の今もメイン機として活躍している。 特に、フリーアングル液晶モニターとボディ内手ぶれ補正機構が、マクロレンズと相まって、花の近接撮影用途にぴったりなのだ。撮像素子が小さ目、レンズのF値が暗めで、もともと被写界深度が深いが、接写ではこれがメリットになる。ピントの幅が狭すぎず良い具合なのだ。三脚無しどころか、片手伸ばしで撮ることが難なくできる。 50mmマクロの描写の良さは定評があり、フォーサーズのレンズ群の中でも名レンズと言われる。35mmマクロも実用的で好きだ。見た目は大きいが、小さいレンズが奥まっていてフードが要らないし、軽い。花を撮る時、35mmの方が撮影距離が適度で具合が良い場合も多い。 パンケーキの25mmもなかなか良い描写をする。コンパクトな標準レンズなので、出かけるときに便利。最短20cmと結構寄れるのもよろしい。この焦点距離も良いが、20mmくらいだったら街歩きスナップ用にもっと良い、と思うのは無いものねだりである。 このカメラが苦手なのは、背景をぼかそうという撮影だ。上記の被写界深度の深さが、デメリットになる。開放から実用になるZDレンズなので、人物撮影など、50mmマクロのF2.0開放にするが、それでも大きくぼけてはくれない。風景写真でも、バックをぼかしても芯がだいぶあるぼけで、表現の幅は狭くなる。 ■キャノン EOS M サブ機である。2013年、カード会社の賞品として突然送られてきた。キャノンのミラーレス機で、オリンパス E-620より大きいAPS-Cの撮像素子だ。標準ズーム(EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM)、準広角単焦点(EF-M22mm F2 STM)のレンズ2本も付属してきた。ありがたき幸せ。 標準ズームはそこそこに大きく、ボディの小ささがスポイルされてしまう。 22mmは、準広角35mm相当で外形もコンパクト。小径レンズの割に明るいF2、最短15cmで街歩きスナップ用に良い。描写も評判良いレンズだ。 しかし小型とはいえAPS-C機、大きさ、重さはコンパクト機とはやはり違う。装着するのが22mmレンズであっても、重さ420gほどで結構ずっしり、ごろんとする。ポケットに入れておく、という代物ではない。携帯していて気が向いたら撮るではなく、始めから写真を撮るつもりで持っていくという意識になる。持ち歩きが、ちょっと億劫になってしまうのだ。 また、撮影上の不満として固定液晶モニターがある。ファインダーとフリーアングル液晶モニターのオリンパスE-620と比較しても詮無いことだが、不便と感じてしまう。せっかくの画質なのに、コンパクト機同様の撮影で、水平、垂直がとれない。未だに自分が液晶モニターで撮る構え方に慣れない、ということなのだが。 後継機のEOS M3がモニターが可動になり、電子ビューファインダーも付けられるようになったのは、結構なことだ。 このカメラは、レンズ交換可かつAPS-Cの高画質を小型ボディで実現、というコンセプトと思う。見かけは軟派っぽいが、APS-Cながら1800万画素にとどめるところなど硬派の設計だ。キャノンのEOS一眼レフと交換レンズを持っている人向け、ミラーレス・サブ機という企画なのだろう。これでもっと小さく軽ければ言うこと無しだが、コンパクトさはほどほどにして、画質を優先させたカメラだ。 決して悪くないカメラなのだがどうも出番が少ない。自分で選んだ物でないせいか。オリンパス E-620の使い方とも重複してしまう。 ■パナソニック DMC-FX8 2005年発売だから、もう10年もののコンパクト機だ。画質や色味がもの足りないのは、いたしかたない。もとより実用のコンパクト・デジカメである。個性不足、魅力不足などと言ってもはじまらない。 最近のコンパクト機は、ズームが25~300mm相当などと10倍以上になっている。万能のようだが、これは考えものだ。ズームを行ったり来たりさせて撮影に迷いが出そうだ。FX-8は35~105mm相当の3倍ズーム。私が使いこなせるのは、せいぜいこのくらいだ。 電源ON時に25mm相当で起動するというのも困ったことだ。広角25mmの強い遠近感が合う場面はそうは無い。その点、FX8の、起動して準広角35mmというのは使い勝手がよろしい。新製品も、広角端でなく、準広角から標準くらいの実用的な焦点距離で起動させれば良いと思うのだが。 ズーム域、画素数などで無理をしていないFX8は、10年経って想定外の付加価値がついたのかも。 自転車ツーリングや旅行など、画質よりもコンパクトさを優先する場合が出番だ。2013年9月のツーリングでは、フロントバッグのポケットに入れておき、手早く撮れるのが何よりだった。液晶が見づらく、特に野外では写真の確認がまるでできなかったが、案外しっかり撮影できていた。記録用とすれば、まだ実用になる。 ■お蔵入りのフィルムカメラ フィルム時代は、リバーサルフィルムを主にしていた。コダックのコダクローム、エクタクローム、富士から出てきたベルビア、プロビア、アスティア、センシア、さくらのコニカクローム。発色にそれぞれ個性があったが、コダクロームとベルビアを良く使った。 室内など、高感度の必要な時はモノクロで、コダックのトライX、富士のネオパン、カラーネガ処理のイルフォードもあった。 低感度のリバーサルの上、マニュアルフォーカスで、フラッシュ、三脚使わずの無手勝流だったので、ピンボケ、手ぶれだらけ、思えばまるでピントが甘い写真だった。 当時のメイン機は、ヤシカ・コンタックスの一眼レフで、ヤシカ FX3、コンタックス139クォーツ、後にはコンタックス Ariaだった。 レンズは、純正ではズーム28-70mm 3.5-4.5、35mm 2.8、45mm 2.8、50mm1.7、85mm 1.4。他に、タムロン、トキナー、コシナのマクロ、広角、望遠だった。85mmレンズ以外は、レンズもボディも下級グレードである。 45mmパンケーキを結構使った。ヨコ位置、タテ位置の画角が身につき、お出かけ時のスナップを撮るのに重宝した。名レンズと言われた85mmは使いこなすまでに至らなかった。 レイクォール製の CY→4/3 用マウント・アダプターがあり、レンズをオリンパス E-620で使うことができる。手ぶれ補正がボディ側なので効くのはうれしい。画質や色味も悪くはない。しかし、フォーサーズは焦点距離が2倍換算なので、どのレンズも中望遠、望遠になってしまうため、結局は使っていない。 そのほか、コンパクトカメラとして、ポケットに入るオリンパスXA 35mm 2.8、それが壊れて、描写自慢だが大きめのコニカHEXAR 35mm 2.0。それぞれ個性があった。 ブローニー判を試してみたくなり、中古を購入した二眼レフ、ローライ CordⅤ75mm3.5などというものもある。 自分の年齢ほどの古いカメラだが、大きさの割には軽い、ミラー跳ね上がりが無いので手ぶれしにくい、キリっとした描写で発色も黄ばんだりせず現代的、と総合的に完成度が高く、存外実用できる楽しいカメラだった。鎌倉の寺めぐりに携帯すると似合った。 現像があがったリバーサルをライトボックスに載せて、口径が大きいピークのアナスチグマート4倍ルーペで見ると、撮影した現場の空気が伝わってくる。ブローニー判の情報量の多さと、75mmレンズが人間の目に近いこととで、実在感が生まれるのだろう。ローライの原型はブローニー判ステレオ写真用三眼だが、これは本当にリアルな眺めだったろうと思う。 それぞれ、良いカメラだった。出番が無くなったが捨てることができない。* * 「カメラあれこれ その2」に記したが、コンタックスAriaとレンズ、コニカHEXARは、その後手放した。 ソニーの新しいフルサイズ一眼α7 は、マウント・アダプターを介してコンタックスレンズが使えそうだ。ちょっと気になるカメラだ。 ただし、AEの連動無し、マニュアルフォーカス、ボディ内手ぶれ補正無しとなると、また、フィルム時代の、1枚毎に手間をかけながらピントが甘い写真、に戻ることになる。そうまでして、コンタックスレンズのデジタル撮像素子との相性はどうなのだろうか。 もっと写真やカメラ機材にのめりこんでいて、撮影機会が多ければ、導入したくなるかもしれない。今のところは、そこまでいっていない。