絵画 2025年

最新作

#29-31 林の中(1)(2)(3) 2025年1月 50cm×65cm 紙 アクリル絵具  風景の抽象画の実験で、3作描いてみた。心の内面の心象風景ではなく実際の風景がモチーフで、近所の散歩道の鬱蒼とした針葉樹の林をもとにしている。  左の(1)は、実景の空間構成や形態を少し抽象化したもの。物の実体感や遠近をあいまいにしている。いわばセザンヌのサント・ヴィクトワール山の風景画と同種だが、抽象化の技術が拙いので遠く及ばない。  中央の(2)は、実景の空間・形態を幾何学的に模式化して再構成し、抽象度をさらに上げたもの。実景からより自由になった。  右の(3)は、実景の空間・形態を写すことをやめ、林の中の雰囲気、そこにいる感覚の表現に純化したもの。絵としての完成には、色彩やマチエールを含めた総合的な構成が必要だが、その力量が無く成立していない。  実景をもとにした抽象的風景画という概念は、津上みゆき氏 (オフィシャルサイト) の影響だ。アクリル画の参考図書「リキテックス大全」(2004年 美術出版社)に、津上氏の作品と実際の風景をもとにしている考え方が紹介されていて、大いに興味を持った。その後、作品展で実際の絵を見た。きれいな色彩で何かワクワクした。上記分類で言えば(3)にあたるが、実景からはるかに離れて自由である。見た目は純粋抽象絵画とも見えるが、作者は実景と何らか対応づけて表現しているだろう。  風景の抽象画って面白そうだ、描いてみたい、それが私が絵画を始めたきっかけだ。  今回初めて抽象的風景画の領域に踏み込んでみた。完成度の低い実験作だが、描いていて多少とも心が自由になったのは良いことだ。自分の絵画は素人の趣味の域である。まだまだ初心者で、自分の画風など定まっていない。素人の特権で、今後とも具象、抽象と様々に試みてまいりましょう。