二つの合唱団ホームページの改訂を手伝った 2020年12月

 素人のつたない仕事だが、これまでウェブサイトをいくつか作ってきた。昨年と今年は、縁ある二つの合唱団のウェブサイト改訂を手伝った。 ■湘南フィルハーモニー合唱団のサイト(2019年6月改訂) こちら      湘フィルは、私自身が所属するPMS合唱団と指導者が同一で、つながりが深い合唱団だ。二つの団に重複している人が多くいて、団員のかなりの人と顔見知りだ。  10年ほど前から団のウェブサイトがあるが、昨年(2019年)1月末に改訂の依頼があって引き受けた。作成者が退団して何年も経ち、日常的な小さな更新は後任の担当者がしているものの、コンテンツの大規模な変更・更新ができない状態になっている、この際一新したいが作業を引き受けてくれないか、という話だ。  それまでのサイトは、CMS(コンテンツ管理システム)としてMovable Typeを使っていたが、古いライセンスのままで、マニュアルも失っていたようだ。コンテンツ内容は、合唱団サイトとして特に不足するものはない。一部古びていたり、メニュー階層が深く複雑で閲覧しにくかったり、スマホ対応になっていなかったり、といった問題点はあるが、これは改訂で変えれば良いことだ。むしろ、担当者一人に負担がかかって行き詰まっている状況が問題で、団内でホームページ担当体制を見直してもらうことが並行して必要だ。  CMSはWordPressを使うことにした。これまでのサイト作成で5年ほど前に2度使って馴染みがあり、今や最も普及した代表的なCMSになっている。WordPressは「易しいけれど難しい」のが特徴だ。易しいというのは、作成後のコンテンツの日常的な更新に関してだ。ワープロと同様の操作で、パソコンに強い人でなくても容易に更新できる。これは大きなメリットである。難しいのはサイト作成だ。  本屋に行けば、WordPressによるサイト作成を教えてくれる参考書は数多くある。それぞれ作成例がいくつも載っていて、作成例をその通りに実施する分には難しくない。ところが、そこから少しはみ出して別のことをしたいとなると壁にぶつかる。特に複雑なことでなくても、どこをどうすればできるかわからないのだ。必要なのはPHP(プログラミング言語の一つでウェブ開発に適する)の知識で、それがあれば、自力で必要に応じたカスタマイズやプラグインの開発などをして壁を越えることができる。しかし、そのためにはPHPを一から勉強しなくてはならず大変だ。  自分の作成意図そのままの作成例が載っている、あるいは自分に必要なPHPだけ丁度よく教えてくれる、そんな参考書は無い。WordPressには、自分にぴったりの教科書が存在しない。そこが難しいのだ。  だがしかし、そんなPHPを避けて通りたい素人の味方になってくれるものがある。それは「テーマ」だ。テーマとは、WordPressの用語で、サイトのデザイン・構造を定めるテンプレートのことで、WordPress本体にインストールし、組み合わせて使う。上記の参考書の作成例も、それぞれ、著者が作ったテーマだったりする。前回5年前に使ったときには、WordPressを使ったときには利用できるテーマの数が限られ、WordPress自身が作った公式テーマを使った。参考書の作成例と同じことで、テーマの既存デザインを一部変えたいとなるとPHPの知識が必要になり、四苦八苦した。  幸い、5年前と比べると状況が変わっている。有料・無料、公式・非公式の数千(数万?)のテーマが開発されている。デザイン・レイアウトの一部をある程度カスタマイズできるものも多くなった。そうしたテーマの中から、作成意図を実現できそうなものを選んで使えば良い。選ぶに困るほど数があるが、有料のものは試用ができないので、無料テーマで最近開発された中から探し、シンプルなデザイン、カスタマイズの自由度、スマホ対応、日本語フォントとの相性、といった基準で絞り込んで「Cocoon」を選択した。(この選択は正解で、よくできたテーマだ。開発者「わいひら」さんに感謝。)  Local by Flywheel(自分のパソコン内にWorpdressの作業用ローカル環境を構築するツール)により、WordPress+Cocoonの作業環境を作り、既存のコンテンツで使えるものはコピー・ペーストするなどして作成作業を進めた。メニュー構成については、これまでのものをベースにして集約・整理した。  2019年5月に入って、湘フィル関係者7名との協議の場を設けてもらい、改訂の方針、メニュー構成から説明し、新サイト案を承認してもらった。併せて、今後のホームページ担当体制を定めてもらった。(本来、スタート時点ですべき協議・調整なのだが、湘フィルの演奏会が4月末に迫っていたためずっと行えなかった。)  「トップページ」、「団について」、「団のあゆみ」、「団員募集」など顔となるページについて、団内でコンテンツを執筆してもらい、6月に完成し、新旧サイトの入れ換えができた。  出来上がりまで延べ250時間ほどの作業になり、私にとっては2019年前半の一大プロジェクトとなった。  ローカル環境の構築、ブログ形式のコンテンツの移植、新旧サイトの入れ換えなど、試行錯誤する難所がいくつもあったが、WordPressは普及率が高いのでネット上に多くの情報があり、助けられた。  私などよりずっとパソコンに強い団員がいるとわかって加わってもらい、団の複数人によるしっかりとした担当体制になった。引き渡し後、その体制で「団員のページ」の追加、常時SSL化などの修正がすぐに加えられ、その後も適切に運営されている。 ■横浜シティ合唱団のサイト(2020年12月改訂) こちら      シティは、以前に私が3年弱所属した合唱団だ。在団していた2012年、ホームページ担当を引き受けて、それ以前にあった団のサイトを作り直した。当時、上記の湘フィルと似た状況で、以前のサイト作成者が退団して担当者がいなくなり、コンテンツ更新が滞っていたのだ。  2014年初夏になって私自身が退団したが、ソプラノのHさんがその後の日常的な更新を引き受けてくれた。何かあってHさんが困った時にはメールのやり取りでサポートして、現在に至っている。  今年(2020年)11月半ば、そんなトラブルの相談メールが久しぶりにあった。問題はすぐに解決したが、良い機会だったので、私の方からスマホ対応を中心とする改訂を申し出て了承を得た。自分が作成したサイトが8年経過して陳腐化が進行している、黙って見ているのは忍びない、という気持ちからだ。  横浜シティ合唱団のサイトは、WordPressなどのCMSは使わず、HTML(ウェブページの表示に使われる言語)で直接記述している。WordPressによるサイトは動的で裏側に複雑で巨大な構造があるのに対し、HTMLは静的で機能が限定されるが、比較にならないほど単純明快な構造なのが特徴だ。このため、全てが自分でコントロールできる範囲内で、HTMLの知識(PHPよりずっと簡単だ)が少しあれば作成できるのが良い。ただし、更新もHTMLファイルを直接いじることになるので、最小限のHTMLの知識が要る。  なお、今ご覧いただいている当サイトもHTMLを使っている。実は横浜シティ合唱団サイトを作ったのが先で、当サイトはそれを雛形として後から作った。いわば弟分で、二つのサイトはほぼ同じ構造になっている。  当サイトは2020年3月に改訂してスマホ対応にしたが(関係記事)、今度はシティサイトに同じ方法をあてはめれば、スマホ対応にできるのだ。具体的には、画面サイズによりレイアウトを切り替えるレスポンシブ・デザインがポイントで、当サイトのCSS(スタイルの指定)を流用すれば良い。CSS変更と各ページの手直しだけなので作業量は少なく、数日でできる。  ちょっとしたつまづきはあったが、コンテンツ全般の見直し・修正も加えて、作業は延べ10時間弱で終わり、12月初めから新サイトに切り替えることができた。ついでに、常時SSL化も行った。この改訂で、シティサイトのアップデート化ができた。ちなみに、当サイトとデザインがよく似ているのは、CSSがほぼ共通しているためだ。  レンタルサーバ―として、無料のFC2を使っており、パソコンではこれまでどおり広告無しだが、スマホでの閲覧で目立つ広告が出るようになってしまった。これはスマホ対応によるデメリットで、予想外だった。 ■個人や小組織のサイトの作り方  二つの合唱団サイトに関する経験を記事にしたが、サイト作成やその後の維持管理を誰がどう行うか、内部で可能かどうかといった点は、よくある悩みと思う。小組織(サークル、NPO、小企業、店舗など)や個人がホームページやブログを持とう・改訂しようとした時、直面する問題だ。  合唱団サイトのような比較的単純で小規模のサイトならば、結局、WordPressとCocoonの組み合わせを使って、組織内部で自前で作成し、維持管理するのが良いと思う。レンタルサーバ―を借りてWordPressの環境を構築し、メニュー構成を考え、コンテンツを作成するという初期の作業は少々大変だが、湘フィルサイトで使ったテーマ、Cocoonはよくできていて、頑張れば自力でできるはずだ。サイト作成後の日常的な更新は、ワープロと似た操作でできて容易だ。  WordPress+Cocoon以外により簡単で使いやすいCMSが他にあればそれを使えば良いが、私は比較するほどCMSを広く知らないのでわからない。シティサイトのようにCMSを使わずにHTMLで直接記述するのはHTMLのスキルが必要であり、ハードルが高いだろう。  複雑な構造のサイト、例えばネット通販のサイトを作りたい場合は、ショッピングカート機能、決済機能などが必要で、Cocoonでは間に合わない。通販サイト用の有料テーマもあって、それを使えば自力作成も可能だが、だいぶ難度が上がる。そうした複雑なサイトは、作成業者に依頼するのが早道だろう。